病院・クリニックが失敗しない社労士の選び方
■社会保険労務士とは
社会保険労務士は、労働・社会保険のエキスパートとして、社会保険労務士法に基づいて認められた国家資格者です。
一般には年金の専門家としてのイメージが強い社会保険労務士ですが、実際にはその役割は幅広く、労働・社会保険に関する法律の専門家として、労働・社会保険に関する手続きの代行や書類作成、企業経営に係わる従業員の採用から退職までの人事労務の諸問題へのご相談に応じています。
これらの分野は、企業経営の3要素である「ヒト・モノ・カネ」のうち、最も重要とされる「ヒト」に関することであり、景気低迷が長期化している現在の経済状況下において、企業の健全な発展とそこで働く労働者の福祉の向上を果たすため、社会保険労務士に寄せられる期待はますます大きくなっていると言えるでしょう。
■社会保険労務士に顧問業務を委託する4つのメリット
社会保険労務士とは、企業の顧問として日常的な労務相談に対応し、経営者の方の身近な相談相手、パートナーになります。
社会保険労務士に仕事を依頼した場合、具体的には以下の4つのメリットが得られます。
メリット1 アウトソーシングにより生産性UP・コストDOWN
社会保険・労働保険関係の手続や給与計算の事務作業から解放され、それまで経営者自らが行っていたのであれば本業に専念することができます。事務員に任せていたのであれば、生産性の向上やコスト削減につながります。
メリット2 タイムリーな法改正情報で万全なコンプライアンス
頻繁に行われる労働・社会保険関連の法改正情報がタイムリーに入ります。そのため、就業規則や社保・労保手続、給与計算その他労務管理について、常に最新の法令に対応しコンプライアンスの面で安心感が得られます。
また、労務管理の手法に法的な誤りがあったら、その問題点への対処法について相談することができます。
メリット3 あらゆる労務トラブルに適切なアドバイス
解雇やパワハラ、セクハラ、メンタルヘルスなど、昨今の労務トラブルは対応を誤ると、非常に大きな損害につながりやすくなっています。 インターネットの普及により、労働者側の知識レベルが相当高くなっていることも一因です。
このようなトラブルが起こった時は、労務のエキスパートである社会保険労務士に相談するのが一番です。適切な労務管理を行うために、経営者の立場に立ったアドバイスが得られます。
メリット4 もう怖くない!労働基準監督署などの調査サポート
労働基準監督署や年金事務所、ハローワークからの調査が来ても、事前準備から当日立会いまで、安心して対応を任せられます。
また、顧問社労士がいると、役所の心象が良くなる傾向がありますので、その点もメリットに挙げられます。
■社会保険労務士を選ぶときの5つのポイント
国家資格者としての社会保険労務士を信用し、「どこに依頼しても同じだろう」と安易に選んでしまうと、思いもよらないトラブルになる可能性もあります。
以下の5つのポイントに難があるケースもありますので、顧問社労士を選ぶ際には注意していただくことが大切です。
ポイント1 問い合せの時の対応に難がある
電話対応した時の返答が横柄。メールで質問したのに、1週間待っても返事がない。すぐに見積りを出すといったのに、全然送られてこない。
→良い社労士は、電話対応が丁寧です。メールや見積り依頼への反応についてそれ程お待たせすることはありません。
ポイント2 質問・相談時の対応に難がある
難しい法律用語ばかり使って話が分からない。質問や相談をしたら、上から目線で話をされる。偉そうな態度をしていて、質問や相談をしにくい。
→良い社労士は、難しい話を分かりやすく説明します。また、顧客の立場に立って考え、物腰も穏やかです。
ポイント3 費用の説明に難がある
安さばかり強調される。契約した後に、何の説明も受けていない追加料金を請求された。
→良い社労士は、費用とその業務範囲を契約前にきちんと説明します。お客様にご納得いただけるまで説明し、無理に契約を進めません。
ポイント4 担当者に難がある
新人社労士や、明らかに経験不足の社労士が担当になった。所長が来たのは初回だけで、その後全く顔を出さない。
→良い社労士は、新人を担当につける場合にはあくまでもサブ担当とし、代表者若しくは経験豊かな社労士がメイン担当となります。
ポイント5 緊急時の対応に難がある
急な依頼事項には応じてくれない。または、あからさまに敬遠されたり、うちは専門外なのでと断られる。
→良い社労士は、お客様が緊急で困っている時には、力になろうと対応に努力します。自分の専門外のことであっても他の専門家をご紹介するなどして、最後までお客様をサポートします。
上記のポイントを中心にチェックして、自社の理想に合う顧問社労士をお探し下さい。
■病院・クリニックが社会保険労務士を選ぶときの3つのポイント
通常、病院・クリニックの方が、社会保険労務士に顧問として社保・労保手続きを依頼する場合、必ずしも医療に精通している方でなくても問題ありません。基本的に社会保険や労働保険の手続きは、業種を問わず共通する部分が多く、業種に対する知識が求められる場面があったとしても、ある程度勉強すればカバー出来るケースが多いからです。
とはいえ、せっかく顧問を依頼するのであれば、単に手続きだけで自院から頼んだことだけをしてもらうのではなく、顧問社労士からも気づいたことがあれば、積極的なアドバイスや提案をしてもらいたいと希望する方もいらっしゃると思います。
初めて顧問社労士を選ぶ際や、今の顧問社労士に不満を感じている場合には、以下の3つのポイントに着目していただければよいでしょう。
ポイント1 基本的な医療用語を理解している
病院と診療所、各診療科によって使う言葉は違うでしょうが、基本的な医療用語に全くついてこれない場合には、依頼者として不安を感じてしまいます。
ポイント2 相談したい場合には、営業時間外でも応じてもらえる
社労士事務所の営業時間は、一般に平日の9時から18時までなどと決められているケースが多いでしょう。 しかし、クリニックの先生であれば、診療後に至急社労士に相談したいことが生じるケースもあるかもしれません。
そのような営業時間外の連絡を一切受け付けてもらえないのでは、不便さを感じてしまいます。
ポイント3 他院の事例などをよく知っている
社労士には守秘義務がありますので、他のお客様に関する内部事情等をお話しするわけにはいきません。
とはいえ、病院・クリニックの方からすれば他院の事例は気になるもの。一般的事例としてであっても、他院の状況をよく知っている人のアドバイスを聞きたいという要望は強いと思います。それなのに、顧問がまったく他の病院・クリニックの情報を持っていないのでは、不満に感じてしまいます。
医療機関に対しては、特殊な業種であるとして苦手に感じている社労士も少なくありません。
しかし、せっかく顧問として長いお付き合いをすることになるのですから、単に書類の受け渡しだけしかコミュニケーションを取らないようになるのは実にもったいないですよね。顧問社労士は、是非、医療についてよく知っている人を探してご依頼下さい。